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街中のチョークアート探訪

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松本

2017.6.22

大型書店でタイポグラフィのコーナーが特設されるなど、文字のデザインに対する関心が高まっているように感じられます。古い看板に見られる昭和な趣きの「かな文字」など路上の文字を渉猟するものや、かつて多く出版された「図案集」の復刻などがある中で、今回注目したいのが「チョークアート」です。

 

黒板には「描き消しが容易」「視認性が高い」という特性があり、常に更新される情報を遠くから知らせるツールとして優れています。そのため、店舗のメッセージボードとして活用されていましたが、最近はデザイン感覚を重要視したものやカラフルなイラストレーションを取り入れたアーティスティックな表現が増えているように思います。

まずは松本市内を歩いていくつか撮影してみました。

(写真1)

(写真2)

(写真3)

単に情報を記すのではなく、それぞれ表現意図がみて取れますね。

こちらはコーヒースタンド「High Five」のトラッシュBOX。最初は使用説明だけだったのが、イベントに連動したりタイポグラフィを取り入れたり、と変化しています。

オーナーの高木さん夫妻が参考書で勉強し、交代で描いているとのこと。

(写真4-1)

(写真4−2)

(写真4−3)

 

では、そもそも「チョークアート」とは何でしょうか。

写真2の作者であり、松本市内で活動されているLe ciel de maiの塩原眞美さんにお話を伺いました。Le ciel de maiは仏語で「五月の空」という意味です。

最初は趣味としてはじめたチョークアートでしたが次第にのめり込み、2年間須坂市の指導者の元に通ってプロコースを修了されました。(その後似顔絵コースも修了)

「チョークアート発祥はイギリスのパブ看板と言われています。移民と共にオーストラリアに渡り、よりカラフルでアーティスティックな現在の形に発展したのです。」

「キャンバスに相当するのはMDFボードという合板で、ホームセンターで簡単に入手できます。チョークと言ってはいますが授業で使う板書用のものではなくオイルパステルを使い、色を重ねて指で濃淡や陰影をつけていきます。触っても消えないように加工し、サインが入れば『チョークアート』と呼べるものの完成です。」

注目が高まったせいか、最近の参考書は「勘どころ」を隠さずに書くようになってきた、とのお話も。

「コーヒーチェーンのスターバックスにはオファーリングボードという掲示型のイラストメニューがありますが、これは各店舗のスタッフがチョークアートで描くことが義務付けられていて、しかも制限時間があるんですよ。」

市内のスターバックスを見に行くと、確かに各店違うものが描かれていました。なお、オファーリングボードは内容を更新するので描き消しが容易にできるよう、ボードは平滑で画材も水性マーカーを使用しているそうです。

(写真5−1)

(写真5−2)

(写真6)

(写真6はカランダッシュ社のオイルパステル)

塩原さんは「今後はもっと表現の対象を拡げていきたい。」と、意欲を語ってくださいました。

例えばこんな題材です。面白い!見事ですね。

(写真7)

 

全てが指先によるクリックなどで行われ、文字情報を打ち込むことすら少なくなっている現在、手描きによる丁寧さや温かみが感じられることが、チョークアートの魅力ではないか、そう感じます。

それに何と言っても私たちは、黒板にチョークで「ひろと/みさき」などと相合傘を描いて盛り上がる思春期の思い出がありますしね…ってあれは違うか。

皆さんもお出かけのときに街中のチョークアートを探してみると、街歩きがきっと楽しくなると思います。

(了)

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