松本市のソウルフードがまた一つ消える
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松本
2017.8.27
松本市並柳2 支那そばでおなじみの「あさの」が2017年9月24日に閉店すると発表した。慢性的な人手不足が理由としている。スープに使う野菜も松本産にこだわり地産地消を貫いた「なじみ」のラーメンは22年に渡って松本市民に愛されてきた。今後は「麺肴ひづき あさのや」として10月上旬にリニューアルオープンする予定。従業員も数名は残り、引き続きお店を支えて行くと言う。
平日は学生やサラリーマン 休日は家族連れで賑わう
弘法山古墳の麓、並柳交差点を東に向かうと真っ先に目に飛び込んで来るのが「あさの」だ。支那そば看板が目立ち駐車場も広めに確保されていてお昼時ともなると駐車場はいっぱいになり店先には行列が絶えない。地元の野菜にこだわったスープはあっさりして飽きのこない味だった。幼少の頃から慣れ親しんだ味が無くなるとあって訪れた常連客は残念と口を揃えていた。
筆者も足繁く通った一人。午前中の取材が終わりお昼を何処にしようかと考え、並柳周辺にいたら「あさの」をチョイスしていた。午後の仕事に支障がない、程よい味と量が私は好きだった。お店の雰囲気と従業員の感じも好きで、けっして洒落ている訳でもないがどこか親しみやすく変わって欲しくない店内。従業員の方の愛想と仕事に黙々と取り組む姿勢は心の中で尊敬していた。訪れる客も気取る事なく自然体の方が多かった。振り返るとそんな「背伸び」しない感じが隠し味になっていたのかも知れない。
店主が私の顔を見るなり「ごめんね。張り紙見た?」と声をかけてくれて「どうしたんですか⁉︎」と尋ねると「時代の流れだね。以前からひづきさんにも支援してもらいながらやっていたんだけど、今回こういう形になったんだ。」と寂しげな顔で教えてくれた。「このラーメンも無くなっちゃうんですか?」と聞いたら「うん。改装に伴ってメニューも変わっちゃうんだ。9月24日までは食べれるからまた来てね」と言って厨房に戻っていった。あの真剣に仕事に取り組む背中が見れなくなると思うと寂しすぎて思わず目が潤んだ。
相次ぐ老舗の閉店
2017年に入ってから松本市では衝撃が走っている。5月には松本市中央1三十余年続いたとんかつとカレーのお店「たくま」が閉店。加えて中央2 「カレーの店デリー」が約半世紀の歴史に幕を下ろした。いずれも松本市で屈指の老舗だが後継者問題や健康上の理由が主な原因のようだ。時代の流れと言われれば仕方なく寂しい限りだが、今までお世話になった味とおもてなしを最後までしっかり噛み締めてSNSに美味しかったではなく店主・従業員の方々に「ご馳走様でした」と心から言いたい。それが私にできる客としての「所作」である。
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